企画概要
金に困った小日向柊が軽い気持ちで飛び込んだのは、都会の片隅にたたずむスナック、その名も「介護スナックベルサイユ」。店内には介護用品が並び、カウンターの棚には点滴のボトルがずらり。それぞれ客の名前が書かれ、ボトルキープされている。客のほとんどは要介護の高齢者達。しかし、店に足を踏み入れたとたん、皆が若さを取り戻し、輝きを増す。見違えるように元気になり、明るく歌い、楽しく飲んで、軽やかに踊り始める。
さらに、この店のもう1つの秘密が、特製のワイン『SEE YOU IN MY DREAMS』 。ママの上杉まりえがどこかから仕入れてくるというが、どこで作られているかなど、他のスタッフは誰も知らない。
このワインを飲めるのは生涯一度、一杯だけ。飲めば、若かりし日にやり残したことや、置き忘れたものを取りもどす幻想の世界に導かれる。
そしてその後、客には締めにふさわしい食事が店から提供される。その食事は客が人生を振り返った時に一番の思い出となる料理。あるいは、ずっと求めていたが食べられなかった料理。
それは時として、客にとって最後の晩餐になることも。その食事を前に、客は至福の笑みと涙を流す。
店にいたひととき――。それは現実なのか幻想だったのかわからない。
ただ一つ言えることは、誰もがすがすがしい顔で店を後にしていくということ。
その姿が、他人を信じられなかった若者の未来をも明るく変えていく。
キャスト
主演
尾碕真花(おさきいちか)

【役どころ】小日向 柊(こひなた しゅう)
子どものころに家を飛び出し、詐欺グループの一員のアズミ(清田みくり)や、ルカ(吉原怜那「ダウ90000」)ら、悪友たちとつきあってきた。高齢者に対して強い苦手意識を持っている。「ベルサイユ」で働き始めたことで、客の高齢者たちが人生の喜びを取り戻す姿に触れるようになる。
【尾碕真花 コメント】
「今回私が演じた小日向柊は、無愛想に見られがちなのですが、実は思春期を思春期らしく過ごせなかった女の子です。そんな彼女が成長していく姿をお見せできたらと思っています。柊は口調が強い部分もありますが、根っからの悪い子ではないというところを意識しながら演じています。私はまだ24年しか生きていませんが、自分の人生についてのこれから、そしてこれまでの過去も考えるいい機会になりました。このドラマを通して『歳を重ねることは悪いことでは決してなく、生きている間のすべてがとても素敵なことだよ』と教えてもらえたような気がしていて。視聴者の皆さんにもこのメッセージを感じていただけたら嬉しいです」
ベルサイユのママ
宮崎美子(みやざきよしこ)

【役どころ】上杉 まりえ(うえすぎ まりえ)
ベルサイユを訪れる全ての客に寄り添う温かく大きな包容力を持つ不思議な女性。高齢者に対してきつい態度で接する柊に対しても、どこか期待を寄せており、辛抱強く見守る。
【宮崎美子 コメント】
「今回私が演じたベルサイユのママ・上杉まりえは、一言で言えば“よくわからない人”です。ベルサイユで起きていることが本当なのか、幻想の世界なのか? ここは介護施設ですが、現実の世界とはもちろん違う世界です。『まりえは本当にいる人なの?』という雰囲気がドラマ全体に出せたら面白いと思いました。死を考えるということは今を考えることであり、『自分はこの先どう生きる?』と、このドラマで一緒にふんわり考えるきっかけになってくださったら嬉しいです。そして今回、私は共演した諸先輩方の素晴らしいお芝居を間近で観ることができて『やっぱり凄い』と思いました。このドラマだからこそ、じっくり諸先輩の名演技も味わって楽しんでいただけるのではないかと思っています」

チーママ
笛木優子(ふえきゆうこ)

【役どころ】窪川 みどり(くぼかわ みどり)
昼は病院の看護師。ベルサイユでは主に客の体調管理を担当している。娘の紗和(8)とは、訳あって離れて暮らしている。
マネージャー
木村 了(きむらりょう)

【役どころ】山本 健太(やまもと けんた)
昼は老人ホームでケアマネージャー。ベルサイユでは主に介助やリハビリの旗振り役を担当する。
接客係
杏花(きょうか)

【役どころ】新藤 美来(しんどう みく)
ベルサイユの接客担当。明るい性格でいつも店を盛り上げる。介護士の資格も持っていて、健太と共に客のリハビリを手伝うことも。
バーテンダー
高山 広(たかやまひろし)

【役どころ】石井 英次(いしい ひでじ)
ベルサイユのバーテンダー兼調理人。管理栄養士の資格も持つ。若い頃、三俣の料亭で板前修行をしていて、かなりの料理の腕前。
柊の祖母
田島令子(たじまれいこ)

【役どころ】小日向 春子(こひなた はるこ)
柊の祖母で余命わずか。厳しい性格で、幼い柊や母親に厳しく当たり、それが柊の「年寄り嫌い」の原因の1つだったが……。
【田島令子 コメント】
六車俊治監督率いるスナックベルサイユの幕が上がると
ヒロイン柊を演じるは少年の様な美しさを醸し出す尾碕真花さん
8歳の柊は美少女春岡花那さん
後悔を抱いて生きて来た人々が一人また一人と
ミステリーゾーン、ベルサイユを訪れます
私演じる柊の祖母春子もその一人、春子の心の澱は解消出来たのでしょうか?
さて、ワインの芳香に誘われ、あなたはベルサイユの扉を開けますか?
私、田島令子は?
それは秘密、、です
ベルサイユの客(第2話)
夏樹陽子(なつきようこ)

【役どころ】金沢 麗子(かなざわ れいこ)
長く社交ダンスの先生をしてきたが、重い病気を患い、余命わずかと宣告を受ける。50年前、恋人の石津健作(片岡信和)と婚姻届けを出す約束をしていたのだが……。
【夏樹陽子 コメント】
皆さんももし一生に1回会いたい人に会えるワインが飲めるとしたら、どなたに会いたいですか?きっと胸をときめかせて、慎重に真剣にお考えになることでしょう!私もそうですから!ただ、私の場合、何人かに会いたいんですよね(笑)恋しい人だけでは無いかもしれないですよ!?
麗子の元恋人(第2話)
片岡信和(かたおかしんわ)

【役どころ】石津 健作(いしづ けんさく)
麗子(夏樹陽子)の50年前の恋人。ダンスサークルで知り合った麗子とは結婚を約束していたが、ある日を境に行方不明になっていた。
ベルサイユの客(第1話)
草村礼子(くさむられいこ)

【役どころ】西尾 加代子(にしお かよこ)
常連客の1人。ひとり歩きをすることがあるため、スタッフたちは細心の注意を払っていたが、新人の柊のミスで、店からいなくなってしまう
ベルサイユの客(第1話)
小野武彦(おのたけひこ)

【役どころ】柳田 浩一(やなぎだ こういち)
中学校の元熱血教師。末期がんで緩和センターに入院しながら、ベルサイユに通っている。自身の教師生活40年に自信を持ってきたが……
【小野武彦 コメント】
私は自分の年齢に近い元教師役。主に主役の尾碕真花さん、他の映画で夫婦役としてご一緒したことのある宮崎美子さん、私の「思い出の人」役の青山姫乃さんたちとのシーンでした。スタッフの手際の良い段取りのおかげで演技に集中でき、青山姫乃さんとの芝居も新鮮な気持ちで交流することが出来ました。尾碕さん演じる小日向柊も、良からぬ交友関係との生活の中から、宮崎美子さん演じるママと知り合い、「ベルサイユ」で働いていくうちに変化していく役なので、その変化のプロセスや振り幅も、お楽しみいただけると思います。皆様、ぜひぜひご覧ください!!
三俣の妻(第1話)
萬田久子(まんだひさこ)

【役どころ】三俣 繁子(みつまた しげこ)
三俣(石倉三郎)の料理の腕を誰よりも認めている。三俣が家を出た後、病気で亡くなるが、ワインを飲んだ三俣の前に現れる。
【萬田久子 コメント】
今作脚本の清水有生先生の朝ドラ『すずらん』で、夫婦役をさせて頂いた時からの ご縁のお酒友達石倉三郎さん!
お酒にまつわる逸話をいっぱい思い出したわ!
先生今度は何かしら!?特製ワインを飲むとあーら不思議♥️
楽しい現場でした! どうぞご覧ください。
ベルサイユの客(第1話)
石倉三郎(いしくらさぶろう)

【役どころ】三俣 史郎(みつまた しろう)
京都祇園の三つ星料亭「みつまた」の元料理人。脳梗塞を発症し、毎週ベルサイユに通う。長年、妻の繁子(萬田久子)と店を切り盛りしてきたが……。
【石倉三郎 コメント】
摩訶不思議なドラマに参加させていただきました。尾碕さんはじめ若手の役者さん方が、スタートがかかると一気にバシッと決めて、今の若い人達はすごいなぁと感心しました。良い環境の中で撮影が進み非常に楽しい現場でした。そしてなんと言っても女房役の萬田久子さん!何度か夫婦役を演じた事もあり、阿吽の呼吸で夫婦としての時間がしっかり持てたんじゃないかなと思います。大女優の胸を借りてシーンを楽しめました!視聴してくださる皆様、凄く面白い作品になってると思います。東海テレビ発の「介護スナックベルサイユ」是非ご期待ください!観てね!
あらすじ
1話
小日向柊(尾碕真花)はママ・上杉まりえ(宮崎美子)と面接し、その日から『ベルサイユ』で働くことに。要介護認定を受けているお年寄りが楽しく過ごせる不思議なこのお店は、まりえが処方した謎の点滴を受けると元気になり楽しい一夜を過ごすことができる介護スナックだった。その日、元教師で末期の膵臓がんを患っている柳田浩一(小野武彦)が特別なワインを希望して来店してくる。このワイン一杯を飲み干したとき、人生の終わりにどうしても会いたかった人に会うことができるという幻想の世界に導かれ…。


2話
一日で店を辞めるつもりだった柊(尾碕真花)だったが、金もなく腹を空かせ、気づけばベルサイユに戻っていた。そんな折、店でリハビリをしていた客を、柊なりの激励で奮い立たせ、スタッフたちを驚かせる。そしてこの日、特別なワインをご希望のお客様が…。元社交ダンスの先生で、余命二ヶ月の宣告を受けていた金沢麗子(夏樹陽子)が来店する。その後、もう1人のベルサイユの常連客との奇跡の出会いによって、柊の生い立ちが明かされ、その未来が変わっていく。


【原作・脚本 清水有生 コメント】
このドラマは酒場を舞台にしたれっきとした「医療ドラマ」です。
スナックのママや接客係は看護師や介護士、マネージャーはケアマネージャー、バーテンダーは管理栄養士とそれぞれが酒場と医療現場の二刀流。点滴の瓶がボトルキープされていて、「とりあえずビール」の前に平行棒で「とりあえずリハビリ」を終えてからというのが店のルール。
そんな話を人に話すと、たいていは「ありえない」と冷たく笑われてしまう。本当にありえない話なのだろうか。取材をしてみると、こんな話に出会った。ビールが大好きな脳疾患のお年寄りのために、ビールにとろみをつけるとろみ剤が薬局で市販されているのだという。嚥下機能が低下していると、水分でむせってしまい誤嚥性肺炎になってしまう危険があるので、とろみをつけるのだそうだ。その患者さんは、元気な時に通ったスナックでわずかでいいから酒を飲み、カラオケで歌うことを目標に、日々の治療とハビリに励んでいるのだという。願わくば、介護保険のサービスの中に、お散歩介護やお買い物介護と並んで「酒場介護」を作ってほしいと語る患者さんの目は真剣だった。
「ありえない」ではなく、「あってほしい」という夢のようなお店の話を書かせていただきました。
【プロデューサー 鵜澤龍臣(東海テレビ) コメント】
報道部の駆け出し記者時代、緩和ケアに取り組む医師に密着させていただきました。そこで出会った患者の皆さんと家族との会話の中にはいつも、「最後に食べたい料理」がありました。去年、99歳で他界した祖母も最後まで自分で食事をすることを望んでいました。
今回、清水さんにえがいていただいた「介護スナックベルサイユ」は、そんなお年寄りの「人生最後に 会いたい人と食べたい料理」に寄り添う物語。高齢者が嫌いな主人公を地上波単独初主演の尾碕真花さん、店のママに宮崎美子さん、そして大ベテランの俳優陣に、客や思い出の人物を熱演していただきました。実在する介護を伴うスナックも複数取材しました。皆さんが口をそろえて、スナックのあの陽気で不思議な空気が、客たちを元気にすると話していたのが印象的です。
私にとって「最後に食べたい食事」とは。ここ数カ月ずっと考えていますが、答えが出ません。今後の人生でもっと素敵な料理に出会うかもしれないから。そう思うと、歳を重ねることが少しだけ楽しみになってくる。このドラマでそんな気持ちになってもらえたらうれしいです。
スタッフ
【企画・プロデュース】
市野直親(東海テレビ)
【原作・脚本】
清水有生
【プロデューサー】
鵜澤龍臣(東海テレビ) 河角直樹(東海テレビ)
【演出】
六車俊治
【制作著作】
東海テレビ