皆さんには、懐かしい駅や、思い入れのある駅はありますか。
毎日通学で使っていた最寄駅は、
ふるさとの風景として思い浮かぶ大切な場所の一つかもしれません。
台風被害のため運転を休止していた三重県のJR名松線が、
3月26日、約6年半ぶりに復旧しました。
運休となっていたのは、
津市の家城駅~伊勢奥津駅を結ぶ約18キロの区間。
利用者の少ない赤字ローカル線のため、廃線の危機に瀕した名松線ですが、
住民の皆さんの熱意が実を結び、存続へとこぎつけました。
「私も地元の皆さんと一緒に、復旧の喜びを分かち合いたい!」
そんな気持ちで、津市・美杉町、白山町に何度か足を運ぶ中で、
たくさんの素敵な出会いがありました。
例えば、伊勢竹原駅で出会った中尾さんご夫婦。
駅前で長年床屋さんを営むおふたりは、
50年前から、毎朝、駅の掃除やお花の手入れをしています。
誰かに頼まれたわけでも、誰かに褒められるためでもなく、
駅が使われなくなった6年半の間も、休まず、毎日です。
掃除をしながら「名松線の復旧が待ち遠しいね」と優しく微笑むおふたりの姿から、大切なことを教えてもらいました。
6年半ぶりに列車が走った日、地元の人を中心に、多くの人が沿線に集まりました。
皆さんの歓声や「おかえりなさい」の言葉から、
どれだけこの名松線が愛されているか、
列車が走るふるさとの風景をどれだけの人が待ち望んでいたかが伝わってきました。
今後も長きにわたって名松線が走り続けるために、
多くの人に観光に来ていただき、列車に乗り、魅力を知っていただければ私も嬉しいです。
▲復旧記念にお二人が植えたカワヅザクラ。
桜の季節が来るたびに、私はきっと中尾さんご夫婦と、
お世話になった美杉町・白山町の皆さんのことを思い出すことでしょう。